無料通話アプリを利用した犯罪の増加。その時あなたはどうしますか?
近頃の子供たちは、日ごろ話しもしたことがないような人ともインターネットでつながっています。ネットで誰かとつながっていないと不安でしかたない。そんな「つながり依存」「ネット依存」の子供たちが日本国内に52万人もいることが、日本の厚生労働省の調査で明らかになりました。ネット依存の割合は女子10%、男子6%。女子が多い理由は、チャットやメールをよく使うため。ネット依存は睡眠の質が悪くなる原因と言われ「午前中に調子が悪い」「やる気が出ない」と感じる人が、依存のない人の3倍近かったといいます。
大人のネット依存割合は2%で、中高生はその4倍も高いという事実。あなたのお子さんはいかがですか?
告白はネットで、がイマドキの常識?!
昔は好きな人に思いを告白すると言えば、手紙や電話、または直接会って、という感じでとても勇気が必要だったわけですが、今の子供たちはメールで簡単に「告る」のです。
人間のコミュニケーションとは、もともとは直接的なものでしたが、ツイッター、フェイスブックといったソーシャルネットワーキングサイト=SNSの広まりとともに、今後は間接的なコミュニケーションが拡大すると考えられます。
最近特に利用者が増え、爆発的な人気を誇る無料コミュニケーションアプリ「LINE」もSNSのひとつです。チャットのように気軽に相手にメール送信ができたり、絵文字のようなかわいいスタンプ機能がヒットの理由。
しかし子供がLINEを使うことによるトラブル。これが今、ワールドワイドに急増中です。
日本では「ネット依存」で専門医に通う中高生が急増。
「食事をするのも惜しいくらいネットを使用します。音楽を聴くため、という理由で半年前に買ってもらったアイフォンでLINEを使いはじめました。学校が休みの日は1日中手放せません」というAさんは中学2年生。
「やめられないのは、楽しいから。情報がどんどん更新されるからお風呂に入っている時もトイレにもアイフォンを持って行く」。「隣にいる友達ともLINEで話すのは当たり前」。
すぐに返事を出さなければ、LINE外しと呼ばれるような「仲間外れ」にされたり「置き去り」と呼ばれるような「別グループ作り」に入れてもらえないという状況になるのが怖いそうです。
成績撃沈。寝る間を惜しんでLINEを使っている我が子を見て、イライラが止まらない!
「もしLINEがなかったらホントに困る。グループ機能を使い、一斉メールでのやりとりとりもLINEを使ってする。なくてはならない存在」。
LINEにはグループを作る機能があり、近頃の子供たちは少なくとも15~35ものグループに属していて、それぞれの仲間たちと頻繁にやりとりをしています。読んだらすぐに返信するのがマナーとなっているため、返事をしないと既読無視とされ、時にはこれが「ルール違反」となることも。
「ちょっとでも離れていると、自分の悪口を言われていないか不安」というBさん(中学3年)は、勉強をしなくなったせいで成績が急激に下がり、常に体調が振るわない。自分でLINE使用時間をコントロールできない状態に陥りました。Bさんの母親はこう言います。
「やめさせるためにスマホを取り上げようとすると、「何すんだよ==!返せよ!」と、ものすごい剣幕。娘と激しくもみ合いになり、思い切り足を蹴られ、けがをしたこともあります」。
「ネット依存」はすでに親の手にも負えません。
日本では、そんな子供たちが訪れる専門の外来もでき、2カ月先まで予約がいっぱいとか。
他にはこんな実例が。
●「娘が友達とカラオケに行くと出かけていったが、気になってついて行くと、全員知らない子供たち同士。そこはオフ会(ネットで知り合った人同士が会う)の現場でした。
●「LINEで子供がいじめられています。ひとりだけ仲間外れにされた上に“死ね”“消えろ”などひどい言葉で中傷され、ついに登校拒否になり、いまだにその傷が癒えていません」。
●「娘がLINEで知り合った人とつきあい、別れ話しを持ち出したとたんにストーカー被害に合い、警察に届けました」。
三鷹の女子高生殺人事件は記憶に新しい。出会いから性犯罪へと発展し、殺人事件に発展したケース、いじめが原因による自殺。子供の個人情報の漏えいとも、深くつながっていて、いつ我が子がこのようなネット被害に巻き込まれてもおかしくありません。そして被害年齢はどんどん低年齢化しています。
ネット依存の原因は思春期の特性と深く関係している。
いっぽうで、インターネットをまったく使わないわけにはいかない時代。
「勉強する時も、LINEで問題を撮影して送り、その解き方をLINE上で教えてもらう」。それは彼女たちにとって「大切な連絡網」なのです。
子供たちだけでなく、個人情報保護が強化された現在では学校側から保護者への連絡はすべてLINEを通じて、という小中高が少なくありません。
アイフォンやスマホを買い与えてしまった以上、私たち大人もこの状況から目をそむけず、どうしたら子供の安全をしっかりと守ることができるかを真剣に考える責任があります。
専門家は、下記の項目を子供にネットを使用させる際の注意事項に挙げています。
●会員登録を勝手にさせない。必ず親の許可を取るように促す。
●ネットを使う時間を子供と話し合いながら制限していく。
●使った時間の記録をつける。
●熱中できる趣味やスポーツ活動などでネット依存を阻止する。
●家族だんらんを大切にし、親子の信頼関係を築く。

そしてもっとも大切なのは、私たち保護者自身が“子供の目線”でメディアの進化と社会の現状を見つめること。
そもそもネット依存の原因は、思春期の特性×社会背景が大きく関係しています。
10代の子供は、大人へと成長する過程の中で、ふとしたことで自信をなくしたり、孤独感にさいなまれることが少なくありません。そんな時には友達が何よりも大切な存在。みんなと一緒にいることで安心し、時には愚痴を言ったり、励まし合ったりしながら、子供は徐々に自立していくのです。「友達と離れたくない、いつも誰かとつながっていたい」と思うのはむしろ自然な心理。どこにいても、誰とでもつながっていられるネットは、そんな思春期の子供たちにとってまたとない便利なツールに他なりません。ですから、むりやり取り上げたり、上から目線で「やめなさい!」と叱りつけるのは火に油を注ぐようなもの。
しかし、頭ではわかってもなかなか思い通りにいかないのが親子の日常というもの。子供たちもきっと同じ。
今、こんな冊子が話題になっているのをご存知ですか。愛知・金城学院中学校・高等学校の生徒さんらが自らの体験をもとに作成した情報誌「中高生のためのケータイ・スマホ ハンドブック」。
ケータイとスマホを“人間とコミュニケーション”という基本から捉えなおし、どうつきあうべきかを生徒自身の体験をもとに検討。5年以上の歳月を費やしてまとめあげた1冊。
“SNSの危険性”、“依存症から自分を守ろう”、“親子でつくろうケータイ・スマホルール”といった興味深いテーマが子供の視点で解説されています。
「先生・保護者のためのケータイ・スマホ・ネット教育のすすめ」も同時発売されました。
子供と一緒に読むことで、お互いのイライラ解決の糸口が見つかるかもしれません。
ごく普通の子供がハマるネット依存。3つ以上当てはまったら要注意!
1ネットに夢中になっていると感じる
2満足を得るため利用時間が長くなった。
3やめようとするとイライラ。
4ネット時間を短くしようとしてもうまくいかない
5意図した時間取りも長く使用する
※参考資料・朝日新聞(平成25年8月2日 45704号)、edu(2013年8月号 小学館発行)、中高生のためのケータイ・スマホ ハンドブック、先生・保護者のためのケータイ・スマホ・ネット教育のすすめ(共に学事出版刊)
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